往診のスケジュールに左右され、希望する日数に届かない月がある。すぐに助言が欲しい場面でも、看護師と介護職だけで対応せざるを得ない。小規模の施設では、そもそも来てくれる医師を確保できないこともあります。
臨時の受診のたびに、ご家族・病院・付き添い要員の日程をパズルのように調整する。往復と待ち時間で半日が潰れ、看護師が現場を離れる間は、他のスタッフにしわ寄せが行きます。
「どの時点で看護師に連絡すべきか」の判断が、夜勤の介護職に委ねられる。電話を待つ看護師は、鳴らない夜も気を張って過ごす。対応が口頭で終われば、翌朝もう一度説明し直すことになります。
専門職の判断が、届く場所をひろげる。
株式会社Anchorは、医療・介護・健康をはじめ社会を支える事業の現場に入り、専門職の判断が必要なときにつながり、回り続ける運営の仕組みを、運用設計と技術でつくる事業変革会社です。現在は高齢者施設の夜間対応・医療連携・運営改善を中心に、産業保健へも領域を広げています。めざすのは、専門職の力がより多くの方の暮らしのそばで生かされるヘルスケアです。
夜勤の介護職が、入居者の変化を前にして「いま誰に聞けばいいのか」を一人で考えている。電話が鳴らない夜も、看護師は携帯を手元に置いて過ごす。精神科の医師に相談したくても、小さな施設には来てもらえない。私たちが現場で見てきたのは、専門職がいないことではなく、その判断が、必要な場所に、必要なときに届いていないことでした。
Anchorは施設の現場に入り、相談が生まれてから判断が戻るまでの流れを、施設ごとに組み立てます。夜間の電話は看護師が受け、医師の判断が要る場面は連携医療機関へつなぎ、そのやりとりは記録として施設に残ります。専門職の代わりをするのではありません。専門職が、判断が必要なところに力を使えるようにする。それが私たちの仕事です。
ひとつひとつの相談と、その後どうなったかの記録は、次の判断を少し早く、少し確かにします。起きたことに応えるだけでなく、起きる前に気づける現場へ。夜間オンコールも、精神科の療養指導も、オンライン診療も、この同じ考え方から生まれています。
Anchorは医療機関ではありません。診療を行い、医療上の最終判断をするのは連携医療機関の医師です。私たちは医療と介護のあいだに立ち、判断がきちんと届く仕組みをつくり、それを次の現場へひろげていきます。
2031年に向けて私たちが置いている目標は、専門職の数を増やすことではありません。1人の専門職が支えられる人数を、10倍にすることです。受け付け、記録、つなぎ先の整理、その後の確認。判断そのもの以外の手間を仕組みが引き受けることで、専門職は、判断が必要な場面に力を集中できます。
いまAnchorを通じて施設がつながれるのは、夜間の看護師と、連携医療機関の医師です。同じ仕組みの上で、これから薬剤師、管理栄養士、理学療法士・作業療法士、ケアマネジャー、専門分野の医師へと、施設が相談できる専門職をひろげていきます。どの連携先も施設ごとにご相談のうえ決め、特定の医療機関や事業者を指定することはありません。
相談に応える会社から、困りごとを減らす会社へ。
段階が進むほど、専門職が判断に集中できる時間が増えていきます。年は目安です。
2026いま
施設で生まれた相談を受け、看護師や連携医療機関の医師につなぐ。
2028
相談の中身を仕組みが先に整理し、専門職は判断に集中する。
2030
積み重なった記録から、起きやすい場面に前もって備えられるようにする。
2031〜
困りごとそのものが起きにくい現場へ。施設で暮らす人全体の健康を守る。
問題が起きてから応える医療・介護から、問題そのものが減っていく医療・介護へ。最後の段階にある「予防」は、代表が公衆衛生学を学び、ひとりの患者だけでなく集団の健康をどう守るかに向き合ってきたテーマです。医師として現場に立ちながら、公衆衛生の考え方でヘルスケア全体を見る。そこに、Anchorがこの道を進める理由があります。
Anchorは、
医師としての出発点は、急性期医療でした。病気を診断し、治療する経験を重ねるほど、関心は病気そのものだけではなく、その病気を抱える「その人」へと広がっていきました。その人がどのような背景を持ち、どのような環境にいて、どのような支えの中で生きているのか。一人の患者を深く診ようとすると、自然とその人を取り巻く医療や社会の仕組みにまで目が向くようになりました。
その視点をさらに広げるため、米国の公衆衛生大学院で、個人だけではなく集団の健康をどう守るかを学びました。帰国後は、その考え方を実際の医療に生かしながら、外来と訪問診療を365日行うクリニックを運営し、高齢者施設の医療にも継続して関わってきました。一人ひとりを診ながら、同時に、その地域や施設という集団全体の健康をどう守るかを考える。それが、私たちの原点です。
その意味を最も強く突きつけられたのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。
クリニックには患者さんが殺到し、電話は鳴り止みませんでした。診療を続ける一方で、スタッフも一人、また一人と感染し、限られた人数で毎日の医療を止めない方法を考え続けなければなりませんでした。高齢者施設ではさらに深刻でした。施設内で集団感染が起これば、普段の介護を続けながら、発熱者や重症者への対応、感染対策、家族への連絡までを同時に行わなければなりません。救急車を呼んでも受け入れ先が見つからず、救急隊が到着してから12時間以上搬送先が決まらないまま、亡くなられた方もいました。
その経験から、医療は「ある」だけでは十分ではないことを痛感しました。必要なときに、必要な場所へ、実際に届き続けること。そのためには医師や病院だけではなく、看護師、介護職、施設職員、救急、家族を含めた支える側の仕組みそのものが持続していなければなりません。
集団の健康を守るということは、病気を予防し、治療することだけではない。人を支えている仕組みが、明日も動き続けられる状態をつくることまで含まれる。 私たちは、そう考えるようになりました。
日本では65歳以上の人口が3,600万人を超え、すでに人口のおよそ3割を占めています。これから高齢者の割合はさらに高まる一方で、支える側となる現役世代は減っていきます。必要とされる医療や介護は増える。それでも、それを担う人を同じように増やし続けることはできません。
そして介護は、一部の人だけに関係する問題ではありません。自分自身も年齢を重ねます。両親、祖父母、親戚まで見渡せば、家族の誰かが介護を受けることは、多くの人にとってすでに身近な出来事です。一人が介護を必要とすれば、その影響は本人だけにとどまりません。家族の働き方や暮らし方、住む場所、時間の使い方、将来の選択にも関わります。
だから、高齢者をどう支えるかという問題は、介護業界だけの問題ではありません。これからの日本で、自分たち自身と家族がどう安心して暮らしていくかという社会全体の問題です。
一方で、その最前線にいる医療・介護・看護の現場は、すでに大きな負荷を抱えています。この仕事には休みがありません。夜も休日も年末年始も、人の生活は続きます。今日必要なケアを、明日に回すことはできません。
だからこそ、これからの高齢化社会を支えるには、人の頑張りだけに頼るのではなく、仕事の仕組みそのものを変えていく必要があります。限られた人材や専門性を、どこにどう届けるのか。繰り返している仕事をどう減らすのか。判断に必要な情報をどうつなぐのか。人が担うべき仕事と、仕組みやテクノロジーに任せられる仕事をどう分けるのか。
人を増やすことだけではなく、今いる人の力が、より大きく届く仕組みをつくること。 それが、これからの社会に必要だと考えています。
Anchorは、その課題を解決するためにあります。
現場で起きている困りごとを起点に、新しいソリューションをつくる。必要な人や専門性が足りない場所には、人材や医療資源が届く方法をつくる。人が繰り返している仕事には、AIを含むテクノロジーを活用し、より安全で効率的な仕組みに変えていく。
私たちにとって、ソリューションも、人材も、AIも目的ではありません。どれも、社会を支える現場を強くするための手段です。
まずは、医療・介護・看護、そして高齢者を支える現場から始めています。世界に先駆けて高齢化が進む日本で、人が減っても必要な支援が届き続ける仕組みをつくることができれば、それは次の社会のモデルになると考えています。
一つの現場で解決できたことを、次の現場へ。一つの仕組みで生まれた力を、より多くの人へ。その積み重ねによって、次世代の高齢化社会を支える基盤をつくり、やがて社会を支えるさまざまな仕事へと広げていく。
社会を支える人たちが、より力を発揮できる社会をつくる。
そして、その力が必要な人に、きちんと届く社会をつくる。
より良い社会を実現するために、Anchorは社会を支える事業を強くしていきます。
代表取締役
中村 康宏
Anchorは、医療の専門性と、現場の運営を回す力の両方で成り立っています。窓口から夜間の対応まで、実際に動いている人たちです。
いまも週の半分は診察室にいます。現場で「これは医療、これは仕組みで解ける」と線を引いてきた経験が、そのままサービスの設計になっています。
最初にお話を聞く担当です。売り込みはしません。夜勤の人数と入居者数をうかがって、いまの体制で何ができるかだけをお伝えします。
施設ごとに事情は違います。連絡の順番も、記録の形も、その施設に合うまで一緒に組み替えます。始まってからが本番だと思っています。
夜のあいだに起きたことが、翌朝きちんと施設に戻っているか。毎日そこを見ています。記録は現場が次に動くための材料だと思っています。
このほかに、夜間の電話を受ける看護師、連携医療機関の医師、事務スタッフがチームを支えています。
一緒に働く方へ
この考え方に共感する方と、働きたいと思っています。
専門職の力が、より多くの方の暮らしのそばで生きるように。そのための仕組みを、現場に入ってつくる仕事です。夜間の相談を受ける看護師、医療と介護の運営を組み立てる人、仕組みを設計する人。職種は問いません。いますぐの募集枠がない時期もありますが、まずはお話をさせてください。
2024年1月16日
東京都港区虎ノ門に本社を置き、医療介護コンサルティング事業を開始。
2024年3月
人材事業の拠点として、関西に事業所を置く。
2024年4月
派13-317235 / 13-ユ-316514。看護師・介護職の派遣と紹介を、正規に行える体制を整える。
2024年4月
夜間・休日にかかってくる電話を当社の看護師が受け、必要なときに連携医療機関の医師へつなぐ体制を、施設ごとに構築。
2024年12月
本社と同じ港区虎ノ門に、業務の拠点をもう一つ置く。
2025年5月
第48号-25050037。中小企業のIT導入を支援する事業者として、国の認定を受ける。
2025年6月
施設のIT導入を補助金の枠組みで支援できる体制と、情報セキュリティの取り組みを対外に示す。
2025年8月
連携医療機関の精神科医による月2回の療養指導を、施設で受けられる形に。オンライン診療の体制支援も、同じ仕組みの上で提供している。
2025年8月
京都事業所に加えて虎ノ門を届け出し、東京でも派遣・紹介を行える2事業所体制に。
2026年
特別養護老人ホーム・認知症グループホーム・障がい者グループホーム・訪問看護ステーションの4分野で、現場で使える情報を発信。
これから
一つの現場で解決できたことを、次の現場へ。一つの仕組みで生まれた力を、より多くの人へ。世界に先駆けて高齢化が進む日本で、人が減っても必要な支援が届き続ける仕組みを作ります。
派13-317235
看護師・介護職を施設へ派遣できる許可です。財産的基礎、個人情報の管理体制、教育訓練の計画などの審査を通っています。人手が足りない期間だけ人を出す、といった対応が正規にできます。
13-ユ-316514
施設への直接雇用を前提とした人材紹介ができる許可です。派遣とは別の許可で、両方を持っているため、施設の事情に合わせて「まず派遣、その後に直接雇用」といった組み立てができます。
経済産業省認定 情報処理支援機関 第48号-25050037
中小企業のIT導入を支援する事業者として、国が認定した機関です。提供するサービスの内容と実施体制が審査されます。介護施設のICT化を、制度の側から支援できる立場にあります。
情報処理推進機構(IPA) 二つ星を宣言
情報セキュリティ対策に取り組むことを自ら宣言した企業の証です。二つ星は、基本方針を定めて外部に公開している段階を指します。入居者に関わる情報を扱う以上、ここは省きません。
登録済
施設がITツールを導入する際、補助金の申請を一緒に進められる登録事業者です。申請の代行ではなく、要件に合う形に体制を組み立てるところから支援します。
医師・産業医・米国公衆衛生学修士
制度上の許認可ではありませんが、医療に任せる線と、仕組みで解ける線を引けることが、この会社の設計の核にあります。診療そのものは連携医療機関の医師が担います。
診療・療養指導を行うのは連携医療機関の医師です。当社は体制づくりと運用支援を行い、診療の対価を受け取ることはありません。連携先の医療機関は施設ごとにご相談のうえ決め、当社が特定の医療機関の受診を指定することはありません。
夜勤の人数と入居者数をうかがったうえで、いまの体制で何ができるかをお伝えします。
その場でお申し込みいただく必要はありません。